聴覚ディスプレイのための色面パラメタマッピング


データ可聴化技術

聴覚ディスプレイ開発において重要な技術が「データ可聴化(Data sonification)」である。それはHermannらによって以下のように定義されている.

1)音は入力データ特性や関係性を反映していること.

2)音への変換はシステマチック(データと音の変化の因果関係が明確である)であること.

3)再現可能であること.

4)異なるデータでも利用でき,繰り返し利用可能であること.

本研究は上記定義に従う.

データ可聴化技術の例

データ可聴化技術には以下がある.

1)Audification: 音以外の時系列信号を音響信号に見当てて再生する方法.例:地震波,脳波,筋電信号.

2)聴覚アイコン: 特定のイベントを,短い音で表現したシステム.例:PCから流れる音によって,起動を知らせる音.紙をくしゃくしゃにする音によって,ファイル削除を知らせる等.

3)パラメタマッピング(Parameter Mapping Sonification): (入力)データの特徴的なパラメタを,音のパラメタに対応づける方法.

本研究とパラメタマッピング

色データのパラメタと音のパラメタとは,以下のごとく多くの属性において写像の関係にある.音律⇔色相 / 音階⇔色 / 音調⇔色調 / 音の長さ⇔色面の大きさ / 音の強弱⇔色の彩度 / 音の大小⇔色の明度 / 拍子⇔グリッド(コラム) / リズム⇔構図 / 旋律的,和声的⇔具象的,抽象的 / 長三和音⇔三原色 / 生成過程(三原色化⇔反対応答化⇔範疇化).本研究は,色データの持つパラメタを音のパラメタに置換させることによって,色データによって発信或いは表現できる情報や意味,或いは情感を,音によって認知させることである.